SKATEBOARD WORLD

INTERVIEW / Guest:横川琢哉(パーク設計・施工・アドバイザー)

 

今回は武蔵野総合体育館のスケートパークの設計、武蔵野公園のパークの施工や、 その他多くのパークの設計を行う横川さんがゲストです。(2003年)

Y:横川琢哉さん C:COMMOTION

PARK
C:横川さんは武蔵野公園のパークの設計をしていらっしゃいますが  どのぐらいになりますか?

Y:4・5年になりますかね〜・・・多分それぐらいです。(笑)

C:パーク製作を始めるきっかけは? Y:武蔵野公園で作る前から色々作ってて、武蔵野公園に遊びに行くようになってから友達とクオータでも作ろうか!ってなって、徐々に拡大していった感じですね。

C:パーク製作で何が一番大切だと思いますか?

Y:う〜〜〜ん。これは色々あると思いますが、まず設置場所が公共の場所の場合は、安全でしっかりしたものを作るってことだと思います。設置者以外の利用者や一般の通行人などが、セクションで怪我をするようなことがないように。これは法律上も設置者に責任が発生する場合があるので・・・
まあ、基本的には利用者の自己責任で使用してもらいたいですが、設置者もなるべく良い状態のものを良い状態でキープするってことが大切ですね。あとは、いかに楽しく遊べるものにするかですかね!

C:残念ながら一部にマナーの悪い利用者がいると聞きます。武蔵野公園ではどのように対応しているのですか?

Y:これはホント〜〜〜に困りますね!(怒)何度もセクションを取り壊そうかなと思いましたよ。状況を理解してない一部の人のエゴで大勢の人が滑れなくなったり自主的に一時閉鎖をしたこともありました。しかも泣く泣くみんなで一時閉鎖をしている最中でも、チェーンを切って滑ってるアホがいた時は、膝をガックリ落として悩んだ日もありました・・・(苦笑)

C:最近公共のものも含め多くのパークができつつありますね。アクションスポーツ愛好者としては非常に好ましい状況ですが、横川さんはどのように考えていますか?

Y:大変いいことだと思います!利用者が増えている現状、施設がどんどんそれに追いついていくことが必要になってきますよね。武蔵野市のコンクリートパークみたいな公共のパークのように、初心者に対応した公共のパークが増えていって、さらに個人さんでやってらっしゃるパークがよりテクニカルなセッティングを作っていって頂く事がベストかもしれませんね。まあ、みんながみんなストリートで滑り始めたらそれこそ警備の厳しいところが増えちゃいますしね!(笑)ちなみに武蔵野市のパークは、オープンから7ヶ月で利用者数1万人突破しました!けっこうありえない人数ですよね。我が子のように思っているパークなので嬉しいです。マナーも守られているみたいで市の方々の印象も良いようです。これからも皆さんで可愛がってあげてください。それとバンクの入り口の破損などが目立ってきているので市のほうで直すようです。今度は、当初の設計どおり入りがRになるので安全に初心者の方にも使っていただけると思います。スピードも付けやすくなりますね!

C:武蔵野市のパークは、地元愛好者から市長への手紙一通で、作ろうということになったんですよね。滑りやすいし、スクールも開催したりと本当に良いパークだと思います。破損の件では利用者からも修復して欲しいという声が上がっていましたが、すぐに対応するところは素晴らしいですね。

C:横川さんはスケートボードやBMX、インラインスケートも  やってらっしゃいますよね。それぞれのスポーツでパークに求められている  ことが微妙に違うと思いますが、どのように対応しているのですか?

Y:そうですね〜〜やはりまずBMXとスケートボードだと、かなりセクションの大きさが変わってきますね。ウィールの大きさも材質も違うし、スピードや技の感じも違いますからね。基本的にBMXのほうが大きいセクションを必要としますね。そしてBMXが乗るとセクション自体へのダメージが大きいので、そのあたりも考えつつ作らないと大変なことになりますね。コーピングも痛むし・・・面も・・・
あと、BMXの利用者はRが主体になりますが、高さがないと遊べないので 大き目が好ましいですね。スケートボードから見るとRやバンクやカーブなど平均的にあるほうがいいですね。まあ、それぞれの種目でも利用者によって  また好みも違うので一概には言えませんが・・・
じゃあ、まあ実際に3種目の利用者が楽しく安全に遊べるパークをデザインする時に何が必要かというとですね。
1.各種目に合ったデザイン
2.動線を考える
3.安全な設置
4.周辺環境への配慮各種目にあったデザイン:というのは、それぞれの種目の利用者がどんなセクションを求めてるか、そしてさらに色々なレベルの利用者に合った大きさですね。武蔵野市の場合は、市から「初心者向けで、3種目が同時に入れて、安全なパーク」ということでしたので全体的に小さめです。それでいて各種目の初心者が、パークに初めて来てもだんだんに練習できるようデザインしてあります。
動線:これは最も重要なことかもしれません。動線とは、人の流れのことで、利用者がどこからどこへ行ってどう動くか、さらにどこで順番を待って、どこで休憩するかなどなど・・・
もし動線を考えずに作ると、利用者同士の激突や、お互いの邪魔になって しまったり、広さの割りに実際遊んでる人の人数が少なく待ち時間が多いなど、あまり良くない結果になってしまいます。たとえばよくある問題としては、Rのプラットホームの広さです。主にパークではRやバンクなどの上からスタートしますよね。なのでプラットホームで並んで待ったりすることになるんですが、ここが狭いと待ってる時に滑ってる人の邪魔になったり、プラットホームが人であふれて順番待ちができないなどということになってしまいます。特にBMXは、それ自体が大きいので気を使いますね。
安全な設置:まあこれは、動線とも重なりますが、さらに言うと個々の  セクションの細かいところですね。たとえばRだったら面の半径やコーピングの出方、バンクだったらバンクの角度などです。武蔵野市のRは、初心者用にコーピングをあまり出していません。コーピングに引っかかって転ぶと痛いですからね。あとRなんですがRとはrudius(半径)のことで、ランプの面の角度の増していく割合のことです。が大きければゆっくりと角度が増していくので緩いということになりますね。
逆にRが小さければ角度が増していくのが急なわけです。まあ大体2.5mの半径でやるのが一般的かと思います。武蔵野市のパークの場合は2.5mRでやってます。もしかしたら緩く感じる方がいらっしゃると思いますが、それは、おそらく上乗せのセクションのパークよりコンクリートの場合、入りの部分がきれいに上がっていくのと、ランプ自体の大きさが低いからだと思います。またRが大きければその分同じ高さでもコーピングからボトムまでの長さが長くなるので、転んだ時もRの面に落ちるので安全と言えますね。

周辺環境への配慮:これは公共でパークを設置する場合は、もっとも気を使わなくてはなりません。騒音や治安などの問題で、近隣の住民の方は、とても不安です。ですので、説明会などを開くことになるのですが、なかなか難しいのもののようです。騒音に関しては、セクションの置き方によって変わりますので、そこら辺を考えますね。まあ利用者のマナーに関しては、皆で注意しあいながら良くしていくことです。武蔵野市の場合は、当初の計画より1年も遅れてのオープンとなりました。市の方々と近隣の住民の方の説明会が行われて段々に理解してもらいましたが、最初の頃は、近隣の住民の方が騒音や利用者のマナー、もしかしたら治安が悪化するのでは・・・といった心配や、隣の中学校のPTAの方々から  生徒さんが勉強に集中できないのでは・・・といった問題が持ち上がりました。

確かに騒音は、スケートボードなどが地面に当たる音など問題になること多いことです。僕の家の隣にスケートパークができるとなったら愛好者の僕でも反対するかも(笑  ですので市の方々と実際に滑ってその時の音を測定器で計ったりしました。あとは市の方々の懸命な説明と近隣の住民の方々の理解もあって着工にいたりました。  デザインの上でも度々足を運び、音の反響や通行者に脅威にならないようになどを考えてデザインしていきました。


C:ステアーやハンドレール、レッジ、ウォールなどストリートをそのまま再現したパーク、ボールやプールなど変わったセクションのパーク、初心者向け、上級者向け、深夜でも滑れるパークなど様々な特徴のあるパークがあっても良いのではと考えています。横川さんの描く理想のパークは?

Y:これは、これからできていくパークの課題ですね。国土の狭い日本では、広さも限られるし、設置場所も限られてくるわけです。しかし狭いながらに工夫していくのが日本人の才能だと思いますので設置者側の  センスに懸かってくるわけですね。全部を満たすパークとなると難しいかと思いますが、逆に一箇所で全部満たしていても、どうかと思います。今日は、あそこ行こうぜ!とか、ここも飽きたからあそこ行って  まったりしようぜ!みたいな方が良いかなと思います。ですのでどのようなパークにしろ、そこだけの何かがあると良いなと思います。個人的に理想のパークは、やはり裏庭感覚のジャンクなものかな(笑
ミニランとストリートセクションとダートジャンプとクライミングウォールとシューティングレンジとプール これだけあれば  パーフェクトですね!(贅沢か・・・)
仕事
C:横川さんは東京スクールオブビジネスで講師もされていますね。学校の目の前にパーク(*)があるなんて羨ましい環境ですよね。

Y:はい!かなり珍しい学校ですね。アクティブスポーツ専攻というコースがあるんですよ。基本的にはビジネス学校なので、ビジネスのことを学ぶのですが、実技をとうして色々なことを学んだりもしてます。入学すると3種目必ず体験するんですけど、その他ギアについても学んだり、販売や物流、大会を企画してみたり。とにかく、臨機応変にやってますね!業界自体をもっともっと大きくしていくには、業界関係者や愛好者の意識の向上が不可欠な時期に来ているので、そこら辺を理解した人間を世に送り出すために、他の先生方とも協力して頑張っています。まあ専門学校というのは、難しいもので、生徒たち自身に向上心や学ぶことの自覚がないと2年間何もせずに過ぎてしまうということになってしまうんですよ。逆に色々吸収しようという生徒には、優秀な先生方が色々な知識や 経験を与えようとしますので、伸びていきますね。基本的に良い子ばかりなので楽しくやっていますよ。もし東京スクールオブビジネスに興味のある読者の方がいましたら是非!体験入学に来てください。
不景気といわれる今日だからこそ世の中に求められる知識や技能を身につけることが必要不可欠です。楽しくアクティブスポーツを練習しながらビジネスの勉強や他では、体験できない経験ができるので可能性を試したいあなた!是非!(笑)

C:将来アクションスポーツの世界で仕事がしたい人には魅力ですね。
活動
C:今後の活動予定は?

Y:年に2〜3回武蔵野祭り(BMXの大会)と言うイベントをやってます。あと東京スクールオブビジネスの学生主催のE-cup(スケートボードの大会)も年1回やっていくので是非お越しください。EDITパークも改装をして良い感じですよ。あとプロスノーボーダーの柳沢景子とボランティア活動を アンダーグラウンドで進めています。

C:E-cupは3人1組のチーム形式で競うという少し変わったコンテスト形式で開催されましたよね。チームやメーカー、地域対抗、ワンメイクなど  変わったものが見たいなと思っていたので楽しませてもらいました。  今後も期待してます。

Y:ありがとうございます。あれは生徒が主体で開催した大会だったのですが、準備期間があまりないのに  無理やり間に合わせた感じになってしまい、他の先生方に心配をかけてしまいました。(汗  しかし生徒たちに失敗して学んでほしかったので、けっこうほったらかしで見てたんですよ。ですので生徒皆で話し合い企画書書いてなどなど、がんばってやってました。結果、来ていただいた方々も喜んでいただけたみたいなのでよかったです。まあ点数を付けるとしたら75点かな(笑  3人1組と決まった時、正直不安でしたが新しい感じでよかったですね。初心者にも出やすいみたいです。これからもっと初心者層にも楽しんでもらえるイベントや大会が増えるといいと思いますね。

C:EDITの改装でセクションは今どうなりましたか?

Y:お!良いですよ〜〜  当初のEDITって武蔵野市の倍の敷地面積なのに入れる人数が少なかったんですよ。 しかもけっこうRばかりで・・・
まあそこがよかったとも言えますが、生徒たちがもっとストリート色が強いほうが良いというのでそれを踏まえて生徒に考えさせたりして僕が設計して皆で作ったり、動かしたりしてみました。まあ、まだまだ納得いく形じゃありませんが徐々に変えていこうと思っています。
基本的にあそこは、学校の校庭なので、あくまでも生徒の希望を聞き、考えさせ、それを形にしていくというスタンスでやってますね。

C:ボランティア活動とはどのようなことをやっているのですか?

Y:あはは!これは、プロスノーボーダーの柳沢景子と冗談で「なんかやろう!ボランティア!」みたいな・・・(笑  でも、恵まれない子にT−shirt送ったり、電車では席を譲ったり、とにかく意識が重要だと思うので心がけてます。まあ、ボランティアというととっつきにくいですが、ボランティアを楽しむというか、自分のためのボランティアなんですよ。だから趣味みたいなものですね。決まりとかないし不定期に気の向いたときにボランティアを楽しむ。自分らの生活の範囲でですね。世界を救いたい君!是非メンバーに!!世界国家を作りましょう!(笑
最後に
C:何かPRすることがありましたら

Y:Vectorの服は愛情込めて作っているのでよろしく!!(笑)その他パークを設置予定の地方自治体の皆さん、絶対専門的な知識をもった  人物に相談してから図面を引いて下さい。けっこう作ったけど使えない・・・といった施設もありますので。では皆さん何処かでお会いしましょう!!

C:読者に一言お願いします。

Y:色々な状況はあるかと思いますが、みなさんで楽しくアクティブスポーツを広げていきましょう!!

*東京スクールオブビジネスはEDITパークを運営している専門学校です。
(EDITパークの当初のデザインに横川さんは参加していません。改装、メンテナンスのみです。)
プロフィール
横川さんプロフィール
1976年生まれ 27歳 出身地:東京 現在パーク製作・メンテナンス、
アパレルメーカーVectorの運営 東京スクールオブビジネスの講師として活躍中。
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